演劇集団
円は創立35年を迎えました。
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円・演劇研究所が |
―― 俳優を志す君達へ ――
人間を表現するとは、どう言う事なのだろう。本当のところは、私にも未だ少ししか判りません、が、
それは「思い」を表現する者と、受け手の想像力の関係で成り立っていると思います。
特に受け手、詰まり観客の想像力を如何に喚起するかが非常に重要な表現の要素だと思うのです。
動物が主役のテレビ、映画等、例えばチンパンジーなんかを思い浮かべて下さい。
悲しい時、とても嬉しい時、ちょっと寂しい時、ドラマの状況設定に応じて、
彼らの表情につい引き込まれ感動してしまう事が良くあります。その時、観客の想像力はフル回転しているのです。
詰まり、彼らの表情の変化、或いは無変化がどうあれ、不覚に涙してしまうのです。
大概の場合、彼らに特別な表情の変化は無い事が普通です。私達俳優の場合、登場人物の「思い」を
どう観客に伝えるのかと腐心します。が、観客の想像力を最大限に引き出すには如何すれば良いのかは、
あまり考えたりはしません。表情はシンプルなほうが良いと思います。
そして俳優たる者の内実は、細心で、疑り深いものです。
所在無く、家でごろごろしてる時など、私はふとそう考えたりしています。
研究所について
●本科 / 1年間 [4月〜翌年1月]
【演技部】
多面的なカリキュラムによって、俳優になるための基礎訓練を実施します。
活きた声をつくりあげるための発声訓練、
自由にのびのびと動けるための肉体訓練、
感情を動かしそれを表現につなげるための演技実習。
俳優になるための土台をづくりをします。
【演出部・舞台技術部】
演出、美術、照明、音響、舞台監督等を志望する人材を養成します。
前期は演技部の人々と同じカリキュラムを受け、俳優と同じ体験をする事を通し、
演技者に対する理解を深めます。後期からは、専攻科の公演、劇団の本公演に
スタッフの一員として参加し、現場で実践を重ねていきます。
●専攻科 / 1年間 [4月〜翌年2月]
【演技部】
授業というカリキュラムではなく、ひとつの作品を稽古し上演する事で
プロの俳優になるための教育を実施します。
ステージ円で上演するサマーステージ、スタジオで発表する小公演、
そして1年の締め括りである卒業公演。
舞台に立つことで俳優になる為の経験を積み重ねます。
他にも、自分達で企画した自主企画公演で発表します。
【演出部・舞台技術部】
研究所の公演、劇団の本公演にスタッフとして参加し、
プロとして必要な技量を見に付けてもらいます。
演出家志望の人は“演出部試演会”という名目で必ず1作品は上演してもらいます。
●進級・入団について
本科・専攻科共に、1年間修了後進級・入団の審査があります。
本科→専攻科→演劇集団円の劇団員という順序で進級し、
専攻科演技部は15名程度の定員となっております。劇団員昇格への定員はありません。
演出部・舞台技術部においても定員はありません。
また、特に優秀な者は専攻科を経ず、飛び級で劇団に所属して頂きます。
月曜日〜金曜日 午前10時〜午後6時の間で、2時間〜4時間程度
●授業時間
●授業項目
・演技実習
講師の指導のもと、指定の台本を用い、読み合せから、立ち稽古、発表までを通し、
表現する力を身に付け、個々の特性を伸ばします。
・朗読
日本の文学を朗読し、日本語の正確な発音・発声を学び、
「役を創る」という俳優の仕事を豊かにさせます。
・台詞
「台詞をどう言うか」その前に、台詞には書かれてはいないことや、
その役の心の動きを想像する事が出発点です。
授業では「行間を読み」「決められた以外の台詞を探る」ことから始め、
言い方をなぞるのではなく、生き生きとした台詞の表現に近づいていきます。
・ダンス
リズム感を養い、足先から手の動きまで意識させることで
集中する力を付け、踊るという表現を楽しみます。
・声楽
歌う事は誰もが持っている「声」が楽器です。
しかし歌う事で自分の心の動きを的確に表現するのは難しいものです。
楽器としての声帯と身体の関係を学び、表現力を拡げていきます。
・ムーブメント
木刀を使っての殺陣、1対1から乱闘シーンまでのアクション。
身体を強くすると同時に肉体をどう表現させるかを学びます。
・ボイストレーニング
腹式呼吸を身に付け、声量レベルが大きくなるだけでなく、
声帯に負担をかけずに俳優に必要な「声」をつくります。
・着付け・作法
時代劇だけでなく、着物を着けての演技をする場面は少なくありません。
和服での立振舞い、和服の着付けを学びます。
・特別講座
演出家・俳優がその時のテーマに応じ、演劇・俳優の仕事について講義をします。
●講師
・演技実習
大間知靖子、佐久間崇、平光琢也、山下悟、
國峰眞、内藤裕子、森新太郎、吉野知絵美、
宋英徳、上杉陽一、大竹周作、渡辺穣、
早船聡(劇団サスペンデッズ )、
黒澤世莉(時間堂 )、他
・朗読…草野裕
・台詞…福井裕子
・ダンス…藤田さくら(ドラスティックダンス‘O’ )
・声楽…山下美音子
・ムーブメント…渥美博・亀山ゆうみ
・ボイストレーニング…寺尾たかひろ
・着付け・作法…片岡静香
●特別講座講師
橋爪功
◆ 円・演劇研究所の特性 ◆
- 稽古場の開放
研究所には2つの稽古場があります。基本、(月)〜(金)の間、10:00〜18:00の中で授業があります。
それ以外で空いている時間は、研究生で自由に使用し、生徒たちは毎日自主稽古に勤しんでおります。
尚、原則として土・日・祝祭日は授業はありませんが、稽古場は開放しておりますので自由に使用する事が可能です。
- 発表の機会
本科はAとBの2クラスにわかれ授業を受ける事になります。各授業科目の締め括りには発表会があり、
A・Bクラス合同で行います。その発表会を、専攻科や劇団員が観劇します。
専攻科に於いても、まず3つの戯曲を公演する事が決まっており、
その他に「試演会」や「自主企画公演」等、多くの発表の場があります。
発表を行い、多数の方々に見てもらう事、本番を経験する事が大切だと思っております。
- 自主企画公演
研究生であるならば誰でも、任意の好きな作品を稽古場で発表する機会が持てます。
公演の企画、戯曲の提出、プレビュー発表を行い、審査に通る事が出来れば、土日の授業の無い時間や
夏休みの期間などを使って稽古場で公演をする事ができます。
尚、専攻科演出部は「試演会」という名目で、必ず一つの作品を発表してもらいます。
- 卒業公演
本科・専攻科共に1年間の集大成となる卒業公演を、本科が1月下旬、専攻科は2月下旬に
当劇団の劇場「ステージ円」で行います。
一つの公演を創り上げる過程には、たくさんの方々の力が加わっております。その中でも重要な役割を占める、
舞台美術、照明、音響、衣裳、舞台監督等のスタッフは、第一線で活躍するプロの方々に請け負って頂いております。
その方々の指導、采配の元、研究生全員で創り上げて行きます。
発表回数は、一週間合計で12公演になる事もあり、舞台創りのどの部分を見ても、他のプロの現場と変わりません。
- 交流と対話
各発表会、公演の後には必ず「打上げ」と称して飲み会を行い、
仲間や先輩、講師等たくさんの人々と交流し、話し合う機会を設けます。
授業とはまた別に、こういった交流の場で産まれる様々な事が、大切な経験となります。